エリオット波動はどのように生まれたのか

ラルフ・ネルソン・エリオットは、一般にエリオット波動原理と呼ばれ、この波動理論の父です。
1871年7月28日、カンザス州、メアリーズビルで生まれました。
エリオット氏は、20代で会計士として仕事をしてました。主に中米やメキシコの鉄道会社を転々としていました。
時に、役員などを務め、優秀な人物だったようです。
エリオット氏が重病を患い、転機が訪れる

58歳の時、重病を患い退職を余儀なくされました。
療養中に株式投資と共に、チャートに向き合ったようです。
そしてそのチャートに深い関心を示し、分析や仮説を立てることに没入して行ったようです。
今から100年以上も前に、過去75年間分の、月、週、日、30分のチャートを読み込み、相場の動きを観察、分析をしていたと言われてます。
その当時、過去75年分のデータを集めるのは、相当な根気と手間を要したことは、想像に難くはありません。
チャートと向き合う中で、エリオット氏はとある法則性があるのでは、仮説を立てます。
それは、不規則にチャートが動くのではなく、ある何かの法則のようなもでチャートが動いているということです。
そして過去75年分のチャート分析により、自身のアイディアが確信に変わり、後のエリオット波動原理となります。
そのアイディアは、チャールズ・J・コリンズに提出されるまでになりました。
コリンズ氏は伝統的に、市場に勝つためのシステムを提供してくれる数多くの特派員敬遠してきた人物でした。
それらのシステムはうまく機能することはなく、惨めな失敗に終わることが多かったからです。
しかし、エリオット波動理論は別の話でした。
エリオット波動理論が世に出される

その頃、ダウ平均株価は1935年初頭より下落しました。
多くの識者たちは、1929年から1932年にかけての暴落の記憶が強烈に残ってました。
そこでとても否定的な考えをに自ずとなってました。
1935年3月13日水曜日、取引終了着後に、ダウ平均株価がその日の安値付近で、終了した時、エリオット氏は、波動理論の分析を引用してコリンズ氏に電報を送ります。
その時の電報の内容は、このようなものでした。
「NOTWITHSTANDING BEARISH (DOW) IMPLICATIONS ALL AVERAGES ARE MAKING FINAL BOTTOM.」
「ダウ平均株価は弱気の示唆にもかかわらず、最終底を形成している」
という内容でした。
翌日、1935年3月14日木曜日は、その年のダウ工業株30種の最終安値の日となりました。
13ヶ月にわたる「調整」が終わり、市場は直ぐに上昇に転じたのです。
その後、2ヶ月に渡り市場は上昇を続けることとなりました。
そんな中、コリンズ氏は波動原理に関する、書籍の共同執筆に同意しました。
そして、それから約3年の時を経て、波動原理は1938年8月31日に発表されました。
発展を続けたエリオット波動原理

1940年代初頭、波動原理は発展を続けました。
エリオット氏は、人間の集団行動パターンをフィボナッチまたは「黄金比」と結びつけました。
フィボナッチや黄金比は、自然界の普遍的な形状と進歩の法則の一つとして、何千年も前から知られている数学的現象です。
その研究成果は、エリオット氏の決定的な著作と考えられる、「Nature’s Law — The Secret of the Universe. 」「自然の法則–宇宙の秘密」をまとめました。
この著書には、エリオット氏が考えたほぼ全ての考えが含まれてます。
エリオット氏の先駆的な研究の結果、現在、何千もの機関投資家はじめ、トレーダー、個人投資家などの投資の意思決定に波動理論を活用されています。
エリオット氏の晩年

1941年、妻であるメアリー・エリザベス・フィッツパトリックに先立たれました。
晩年は、一人孤独な生活をしていたのか、研究にさらに没頭していたのかは判りません。
ちなみに先ほど紹介した「自然の法則–宇宙の神秘」は最後に出版された書籍でした。
そして、1948年1月15日に亡くなってます。
エリオット氏死後もなお波動原理は発展した

エリオット氏の死後、その意思はフロストやプレヒター等に引き継がれました。
エリオット波動原理の研究は途切れることなく、より洗練されバーションアップされ現在もなお研究されております。
フロスト氏とプレヒター氏の共同著書「エリオット・ウェーブ」(エリオット波動理論)が出版されました。
エリオット・ウェーブの本の中で、1980年代の強気相場を予想し、的中したことから、エリオット波動に注目が集まり、広く世に知られることとなったようです。
そりようなこともあり、エリオット波動はフロストやプレヒターが作った理論と思われることもあるようです。
エリオット波動原理は、今でも活用される理由

1935年3月13日年に、ダウ平均株価の電報を打った頃より100年の時を経てもなお、エリオット波動が活用される理由はどこにあるのだろうか。
ここからは持論になるので、時間の無駄と感じたら、読み飛ばしてくださいね。
古くから現在に至り、使われているものの共通点は、普遍的で有益で使えるからです。
哲学、宗教、占術など古くから今もなお普遍的に語り継がれ、残ってます。
しかも先人たちの叡智を、さらにバージョンアップしているものも沢山あります。
物的なもので言えば、エンジンなどは典型的なものです。
その原理は、発明された時から今も変わらずに使われてます。
しかし細部を改良することにより、燃費が向上したり、加速が良くなったりします。
しかしその原理原則は同じです。
プレヒター氏は、本の中で次のように表現しております。
“(R.N. Elliott’s) Wave Principle is to sociology what Newton’s laws were to physics”.
「エリオット氏の波動原理は、社会学にとって、ニュートンの法則が物理学にとってのようなものである」(英略が直訳なので少し変かもしれません。詳しい方、教えてください。)
このように、チャートの世界で、今でも輝き続けている一つの原理、原則がエリオット波動だからです。